生成AI向けクラウド大手の**CoreWeave(NASDAQ:CRWV)**が2026年第2四半期決算を発表しました。
今回の決算を一言で表すなら、「AI需要はまだ強烈。ただし、その成長を実現するために莫大なお金を使っている」という内容です。
売上高は前年同期比で2倍以上に成長し、受注残高は約1040億ドル。
さらに第3四半期に入ってから獲得した250億ドル超の新規顧客コミットメントは、この1040億ドルにまだ含まれていません。
一方で、EPSは赤字。2026年の設備投資額は最大390億ドルまで引き上げられています。
CoreWeaveへ投資するうえでは、「AI需要が伸びているか」だけではなく、「その成長に必要な資金をどう調達するのか」を見る必要があります。
今回はCoreWeaveの2026年第2四半期決算を詳しく見ていきます。
- 1.売上高25.75億ドル、前年同期比+112%
- 2.EPSは▲1.14ドル。なぜこれほど成長しているのに赤字なのか?
- 3.ただし、本業のキャッシュ創出力は非常に強い
- 4.最大の強材料は「1040億ドル」のバックログ
- 5.2026年通期ガイダンスも上方修正
- 6.しかし最大390億ドルの設備投資は無視できない
- 7.現金及び現金同等物は55億ドル。ただし負債も急増
- 8.金利上昇はCoreWeaveにとって大きなリスク
- 9.もう一つのリスクは「GPUを確保できるか」
- 10.NVIDIA Vera Rubin NVL72を業界で初めて立ち上げ・検証
- 11.AIクラウドから「AIプラットフォーム」へ
- 12.MLPerfでも新記録
- 13.電力は1.5GWへ拡大。契約済みは3.7GW
- 14.Nasdaq100採用も追い風
- 15.CoreWeaveへの投資でチェックしたい3つのポイント
- 免責事項
1.売上高25.75億ドル、前年同期比+112%

まず最もインパクトが大きかったのが売上高です。
2026年第2四半期の売上高は、25億7500万ドルとなりました。
前年同期は12億1200万ドルだったため、前年同期比+112%という驚異的な成長です。
CoreWeaveはAmazonのAWSやMicrosoft Azureのような汎用クラウド企業とは少し違います。
特徴は、生成AI・機械学習向けのGPUインフラに特化したクラウド企業であることです。
生成AIモデルの学習や推論には、大量のNVIDIA製GPUとデータセンター、そして莫大な電力が必要になります。
CoreWeaveはそこに特化してインフラを構築している企業です。
AIへの設備投資が拡大すればするほど、その計算資源を提供するCoreWeaveにも需要が流れ込んできます。
今回の+112%という売上成長を見る限り、AIインフラ需要は依然として非常に強いと言えます。
2.EPSは▲1.14ドル。なぜこれほど成長しているのに赤字なのか?

売上高は急成長していますが、利益を見ると印象は大きく変わります。
EPSは、▲1.14ドルとなり、前年同期の▲0.60ドルから赤字幅が拡大しました。
純損失は6億2600万ドルです。
では、売上が2倍以上になっているにもかかわらず、なぜ赤字なのでしょうか?
大きな理由が、
①巨額の設備投資に伴う減価償却費
②借入拡大に伴う支払利息
です。
CoreWeaveは最新GPUやデータセンターへ猛烈な勢いで投資しています。
第2四半期だけでも減価償却費・償却費は、13億9300万ドルに達しました。
前年同期は約5億5900万ドルだったため、1年間で大幅に増えています。
さらに支払利息は、6億4000万ドル、前年同期は2億6700万ドルでした。
つまり、
AI需要がある
↓
GPUとデータセンターへ巨額投資
↓
減価償却費が増える
↓
借入も増える
↓
支払利息も増える
↓
会計上の利益が圧迫される
という構造になっています。
3.ただし、本業のキャッシュ創出力は非常に強い

ここだけを見ると、「赤字企業だから危険なのでは?」と思うかもしれません。
しかしCoreWeaveを見る場合、EPSだけでは実態をつかみにくいです。
注目したいのが調整後EBITDAです。
第2四半期の調整後EBITDAは、15億1000万ドル調整後EBITDAマージンは、59%でした。
売上25.75億ドルに対して15.1億ドルもの調整後EBITDAを生み出しています。
これはかなり高い水準です。
また、売上高から売上原価8億7900万ドルを差し引いて計算すると、GAAPベースの粗利率は約65.9%となります。
つまり、CoreWeaveのサービスそのものの採算性が低いから赤字なのではありません。
むしろ本業は高い収益力を持っています。
そのキャッシュを上回る規模で将来の成長に向けた投資を行っているため、減価償却費や金利負担によって最終利益が赤字になっているわけです。
ここはCoreWeaveを見るうえで非常に重要なポイントだと思います。
4.最大の強材料は「1040億ドル」のバックログ

今回の決算で個人的に最も注目したいのが、売上バックログです。
2026年6月末時点のRevenue Backlogは、約1040億ドルに達しました。
しかも、この数字には第3四半期序盤に獲得した、250億ドル超の新規顧客コミットメントが含まれていません。
単純に足せる数字ではありませんが、需要の勢いを見る材料としてはかなり強いです。
CoreWeaveの2026年通期売上見通しが124億〜132億ドルであることを考えると、バックログ1040億ドルという数字がどれだけ巨大なのかが分かります。
もちろん、バックログ=必ずそのまま売上になるというわけではありません。
CoreWeave自身も、契約したサービスを提供できることなどを条件としてバックログが将来売上として認識されると説明しています。
しかし少なくとも、「AI計算資源への需要が急速に消えている」という状況ではありません。
むしろ受注を見る限り、AIインフラ投資はいまだ拡大局面にあると考えられます。
個人的には、「AIはバブルではない」と断定するより、少なくとも現時点のCoreWeaveの受注データからは、AIインフラ需要の減速は確認できないと考えるのが適切だと思います。
5.2026年通期ガイダンスも上方修正

業績が好調だったことを受け、CoreWeaveは2026年の見通しも引き上げました。
Q3 2026
売上高 34.5億〜36億ドル
調整後営業利益 2億〜2.6億ドル
FY2026
売上高 124億〜132億ドル
調整後営業利益 9.6億〜11.5億ドル
設備投資 350億〜390億ドル
さらに2026年末の稼働電力についても、従来の1.7GW超から、1.85GW超へ上方修正しました。
売上だけではなく、将来提供できるAI計算能力そのものも引き上げています。
これは需要に対して会社側がかなり強気であることを意味します。
6.しかし最大390億ドルの設備投資は無視できない

一方、今回の決算で投資家が最も警戒しなければならない数字があります。
それが設備投資です。
2026年通期の設備投資見通しは、350億〜390億ドルまで引き上げられました。
売上予想の中央値約128億ドルに対し、設備投資中央値は約370億ドル。
単純比較すると、年間売上高の約2.9倍もの設備投資を計画していることになります。
かなり異常な規模です。
ただし、ここには注意も必要です。
設備投資は2026年の売上を生み出すためだけの支出ではありません。
GPU・データセンター・電力インフラを先に整備し、その設備から今後数年間にわたり売上を生み出します。
そのため、「売上よりCapExが大きい=悪い企業」と単純に判断するべきではありません。
とはいえ、これほど巨額の投資を続ける以上、
資金調達能力
借入金利
設備投資に対する将来のリターン
はCoreWeaveの企業価値を左右する非常に重要な要素になります。
7.現金及び現金同等物は55億ドル。ただし負債も急増

2026年6月末時点の現金および現金同等物は、55億2400万ドルとなりました。
2025年末の31億2700万ドルから大幅に増加しています。
一方で、バランスシート全体では負債も大きく膨らんでいます。
総負債は約720億ドル。
ただし、この数字には借入だけではなくリース負債やその他の負債も含まれるため、すべてを「有利子負債」と考えてはいけません。
会社は調達した資金をデータセンター拡張や最新GPUなどのAIインフラ整備に投入しています。
つまりCoreWeaveは現在、大量の資金を調達してAIインフラを建設し、それを将来の売上へ変えていくという非常に資本集約的な成長戦略を取っています。
この戦略が成功すれば莫大な売上成長につながります。
しかし需要が想定を下回った場合には、一気に財務負担が重くなる可能性があります。
8.金利上昇はCoreWeaveにとって大きなリスク

そして現在、CoreWeaveにとって気になるマクロ環境があります。米国金利です。
FRBのケビン・ウォーシュ議長は8月28日のジャクソンホール講演でインフレに対してタカ派的な姿勢を示しました。
これを受け、9月FOMCでの利上げ観測が急上昇。
9月2日時点では市場が約70%の確率で9月利上げを織り込む状況となっています。
CoreWeaveのように借入を活用しながら急速に設備投資を拡大している企業にとって、金利上昇は無視できません。
第2四半期だけですでに6.4億ドルの支払利息が発生しています。
さらに会社はQ3の支払利息について、8.6億〜9.4億ドルを見込んでいます。
金利が高止まり、あるいはさらに上昇すれば、資金調達コスト増加 → 利益圧迫につながります。
現在のCoreWeaveを見るうえで、AI需要と同じくらい金利環境は重要だと思います。
9.もう一つのリスクは「GPUを確保できるか」

CoreWeaveにはもう一つ重要なリスクがあります
それが、最先端GPUを確保できるかという問題です。
1040億ドルものバックログがあったとしても、サービスを提供するためのGPU・データセンター・電力がなければ売上にはできません。
特にCoreWeaveはNVIDIAの最先端GPUを大量に使用しています。
つまり、需要があることと、需要に応えられるだけのGPUと電力を用意できることは別問題です。
逆に考えれば、現在CoreWeaveが350億〜390億ドルもの設備投資を行っている理由もここにあります。
先にGPU・データセンター・電力を確保しなければ、巨額のバックログを実際の売上へ変えることができません。
今後は、バックログ → 設備増強 → 稼働電力増加 → 売上
という流れが予定通り進むかを見る必要があります。
10.NVIDIA Vera Rubin NVL72を業界で初めて立ち上げ・検証

CoreWeaveは単なるGPUレンタル会社でもありません。
今回、技術面でも複数の重要な進展が発表されました。
特に注目なのが、NVIDIA Vera Rubin NVL72です。
CoreWeaveは業界で初めてVera Rubin NVL72の立ち上げと検証を完了したと発表しました。
NVIDIAの次世代AIプラットフォームを早い段階から導入できることは、AIクラウド企業として大きな競争力になります。
AIモデルの性能競争が続く限り、「どれだけ最新GPUを持っているか」だけではなく、「どれだけ早く最新GPUを大規模環境で動かせるか」が重要だからです。
11.AIクラウドから「AIプラットフォーム」へ
今回CoreWeaveが発表した技術は、ハードウェアだけではありません。
複数クラウドにまたがってAIワークロードを動かすため、
- CoreWeave Interconnect
- SUNK Anywhere
- LOTA Cross-Cloud
などの機能を展開。
さらに、
- CoreWeave ARIA
- CoreWeave Sandboxes
といったエージェンティックAI向け機能も提供開始しています。
これはかなり重要だと思います。
CoreWeaveが目指しているのは、「NVIDIA GPUを貸す会社」だけではありません。
トレーニング、推論、データ転送、オブザーバビリティ、強化学習までを一体化した、AI開発のインフラプラットフォームを目指しています。
ここまで進めば、AWS・Azure・Google Cloudとの差別化にもつながります。
12.MLPerfでも新記録
性能面でも成果が出ています。
CoreWeaveはNVIDIA Grace Blackwellプラットフォーム上でオープンソースモデルを使用し、トレーニングと推論でMLPerfの新記録を達成したと発表しました。
また自社テストでは、推論におけるトークン当たりコストでも最低水準を達成しています。
生成AIが学習中心から推論中心へ移行していけば、1トークンをいかに安く生成できるかという価格競争力は非常に重要になります。
AIモデルの利用量そのものが増えるほど、推論コストの差が顧客の収益性に直結するからです。
CoreWeaveが性能だけでなくコスト面でも競争力を維持できるかは、今後重要なポイントになるでしょう。
13.電力は1.5GWへ拡大。契約済みは3.7GW
AIデータセンター競争でGPUと同じくらい重要なのが、電力です。
CoreWeaveは第2四半期に稼働電力を約500MW増加させ、1.5GWまで拡大しました。
契約済み電力についても、約3.7GWまで拡大しています。
さらに2026年末の稼働電力目標は1.85GW超。
AI市場では現在、「GPUを買えるか」だけではなく、「GPUを動かす電力と土地を確保できるか」がボトルネックになりつつあります。
CoreWeaveが電力供給事業者を分散し、電力供給可能な土地の確保を進めている点は、中長期的にはかなり重要だと思います。
14.Nasdaq100採用も追い風
CoreWeaveは今回、Nasdaq-100指数への採用も決定しました。
Nasdaq市場に上場する非金融企業の中でも最大規模の100社に入ったことになります。
指数連動型ETFなどからの資金流入が期待できるほか、2025年3月に上場したばかりの企業が短期間でNasdaq100入りしたという点でも、CoreWeaveの急成長を象徴する出来事です。
15.CoreWeaveへの投資でチェックしたい3つのポイント
今回の決算を見る限り、僕が今後特に確認したいポイントは3つです。
① 1040億ドルのバックログを実際の売上へ転換できるか
需要そのものは非常に強い。
問題はGPU・電力・データセンターを予定通り確保し、受注を実際の売上へ変えられるかです。
② 設備投資に見合うリターンを生み出せるか
年間最大390億ドルという設備投資は非常に大きいです。
現在の投資によって今後どれだけ売上とキャッシュフローを伸ばせるのかを見る必要があります。
③ 金利と負債
CoreWeaveは資金調達を活用して成長しています。
そのため金利がさらに上昇すれば、支払利息が利益を圧迫します。
特に現在はFRBの利上げ観測が再び高まっているため注意が必要です。
まとめ:AI需要は依然として強烈。ただし「成長の代償」も大きい
今回のCoreWeave決算は、非常に強い成長と、非常に大きなリスクが同時に存在する決算だったと思います。
売上高は25.75億ドルで前年同期比+112%。
バックログは1040億ドル。
さらに第3四半期序盤には250億ドル超の新規顧客コミットメントを獲得しています。
2026年通期売上ガイダンスも124億〜132億ドルへ引き上げられました。
AIインフラ需要が依然として非常に強いことは間違いありません。
一方で、設備投資は最大390億ドル。
支払利息はQ2だけで6.4億ドル。
EPSは▲1.14ドル。
CoreWeaveは今まさに、「現在の利益を犠牲にして、AIインフラ市場のシェアを取りにいっている」段階です。
この戦略が成功すれば、現在の莫大なバックログが将来の巨大な売上へ変わる可能性があります。
しかし、GPU不足、データセンター建設の遅延、電力不足、AI需要の減速、そして金利上昇が起きれば、巨額の設備投資と負債が逆に重荷になります。
だからこそCoreWeaveを見る場合、「赤字だからダメ」でも、「AIが伸びるから絶対買い」でもありません。
重要なのは、バックログが売上に変わっているか。
設備投資以上のキャッシュを将来生み出せるか。
そして負債と金利負担をコントロールできるか。
この3点だと思います。
現在はウォーシュFRB議長のタカ派発言を受けて利上げ観測が高まり、AI・グロース株にとっては不安定になりやすい相場環境です。
一方で、優良な成長企業を長期で保有したい投資家にとっては、こうした金利要因による株価調整が仕込み場になる可能性もあります。
僕自身も短期的な株価だけを見るのではなく、CoreWeaveのファンダメンタルズが崩れていないかを確認しながら、長期目線でチャンスを探していきたいと思います。
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