今回は、私も注目しているフィンテック企業「SoFi Technologies(SOFI)」の2026年Q2決算を詳しく見ていきます。
今回の決算を一言で表すなら、
「ほぼ100点の決算」
だったと思います。
売上高、EPSともに市場予想を上回り、メンバー数、プロダクト数、ローン組成額はいずれも過去最高。
さらに貸倒れ率も改善し、調整後EBITDAも前年比44%増となりました。
それにもかかわらず、SoFiの株価は決算内容ほど強い動きを見せていません。
なぜなのか。
今回は決算内容だけではなく、
「SoFiは今、何を目指している会社なのか」
というところまで掘り下げて考えていきます。
- 1.そもそもSoFiとはどんな会社?
- 2.売上・EPSともに市場予想をビート
- 3.メンバー数・プロダクト数・ローン組成額が過去最高
- 4.「商品数の増加」が「会員数の増加」の2倍
- 5.SoFi最大の強み「Financial Services Productivity Loop」
- 6.貸付だけではない。「手数料型ビジネス」が拡大
- 7.調整後EBITDAは3.58億ドル、前年比44%増
- 8.ガイダンスは売上を上方修正。ただしEBITDAは据え置き
- 9.SoFiはいま「ブランド」に投資している
- 10.Forbes「World’s Best Banks」で米国1位
- 11.個人向けだけではない「Big Business Banking」
- 12.それでも、なぜSoFi株は上がらないのか?
- 13.SoFiは「ローン会社」から「金融OS」へ
- 14.まとめ|今回の決算は「ほぼ100点」。見るべきは次の成長フェーズ
1.そもそもSoFiとはどんな会社?

SoFiは簡単に言えば、「金融サービスを1つのアプリで完結させようとしているワンストップ型金融プラットフォーム」です。
銀行、ローン、投資、クレジットカード、暗号資産、資産形成支援など、さまざまな金融サービスを1つのプラットフォーム上で提供しています。
SoFiの大きな特徴の一つが、単なるフィンテック企業ではなく、銀行免許を持つSoFi Bankを傘下に持っていることです。
つまり、「フィンテック企業の成長力」と「銀行としての金融インフラ」を組み合わせられることがSoFiの強みです。
SoFi自身も「Everything App for digital financial services」を掲げており、単なるローン会社から総合金融プラットフォームへの転換を進めています。
2.売上・EPSともに市場予想をビート

まず今回の決算で重要なのが、売上とEPSです。
調整後純売上高は、約12.06億ドルとなり、前年同期比約40%増。
市場予想の約11.21億ドルを上回りました。
調整後EPSについても、
市場予想:0.11ドル
実績:0.12ドル
となり、市場予想を上回っています。
つまり、売上もEPSもダブルビート。しかも単に予想を超えただけではありません。
売上高が40%近いペースで成長しながら、利益もしっかり出ています。
成長企業としてかなり強い内容だったと思います。
3.メンバー数・プロダクト数・ローン組成額が過去最高

今回の決算で特に印象的だったのが、SoFiのプラットフォームそのものが拡大し続けていることです。
メンバー数は、約1,581万人となり、前年同期比35%増。
さらにプロダクト数は、約2,438万件となり、前年同期比42%増となりました。
今回の四半期だけでも、新規メンバー:約110万人
新規プロダクト:約220万件を追加しています。
さらにローン組成額も、148億ドルと過去最高を更新しました。
つまり今回のSoFiは、「売上だけが伸びている」のではありません。
顧客数、利用商品数、融資規模が同時に拡大しています。
ここは非常に重要だと思います。
4.「商品数の増加」が「会員数の増加」の2倍

個人的に今回かなり注目しているのがここです。
新規メンバーが約110万人増えたのに対し、新規プロダクトは約220万件増えました。
つまり、
商品数の増加が会員数の増加の約2倍。
これはSoFiが単に新しい顧客を獲得しているだけではなく、
「1人の顧客に複数の商品を使ってもらう」
という戦略が機能していることを示しています。
実際、新しく開設されたプロダクトのうち、
51%が既存SoFiメンバーによるクロスバイ
となりました。
例えば、SoFi Moneyを使っている人がSoFi Investを始める。
さらにクレジットカードを使う。
SoFi Plusに入る。
必要になればローンも利用する。
こうして1人の顧客との関係をどんどん深くしていくわけです。
5.SoFi最大の強み「Financial Services Productivity Loop」

私は、SoFiを理解するうえで最も重要なのが、Financial Services Productivity Loopだと思っています。
仕組みは非常にシンプルです。
まず広告やブランド投資によってSoFiを知ってもらう。
↓
新しいメンバーがSoFiに入ってくる。
↓
SoFi Money、Invest、カード、ローン、SoFi Plusなど複数の商品を利用する。
↓
SoFiに対する信頼が高まる。
↓
さらに別の商品を利用する。
↓
1人の顧客から得られるLTV(顧客生涯価値)が高くなる。
↓
顧客獲得コストを効率化できる。
↓
その利益を新しい商品やサービスに再投資する。
↓
SoFiの魅力がさらに高まり、新しいメンバーが増える。
この好循環です。
特にSoFiが狙っているデジタル志向の若い世代は、米国人口の非常に大きな割合を占めています。
若いうちにSoFiの顧客になってもらい、その人が所得を増やし、資産を形成し、住宅を購入するところまで金融サービスを提供できれば、顧客1人当たりの価値は非常に大きくなります。
だからSoFiにとって重要なのは、「今期いくら儲かったか」だけではありません。
「何人の顧客を獲得し、その顧客に何個の商品を使ってもらえるか」
ここが将来の成長を考えるうえで重要だと思います。
6.貸付だけではない。「手数料型ビジネス」が拡大

もう一つ注目したいのが、SoFiの収益構造です。
SoFiはもともと学生ローンや個人ローンなど、貸付ビジネスのイメージが強い会社でした。
しかし現在は、手数料収入を中心とした資本効率の高いビジネスも拡大しています。
これはかなり重要です。
融資を自社のバランスシートだけで増やしていく場合、成長するためには資本が必要になります。
一方、ローン・プラットフォーム・ビジネスでは、SoFiの審査・顧客獲得能力を活用しながら第三者資本を使って融資を行い、SoFiはフィーを受け取ることができます。
さらにカード、紹介、投資、保険などからも手数料収入を得られます。
つまりSoFiは、「自分のお金を貸して利息を稼ぐ会社」から、「巨大な金融プラットフォームを使って手数料も稼ぐ会社」
へと変化しています。
この収益源の多様化は、今後SoFiを見るうえで非常に重要だと思います。
7.調整後EBITDAは3.58億ドル、前年比44%増

利益面も非常に強いです。
調整後EBITDAは、3億5,800万ドルとなり、前年同期比44%増。
さらにSoFiは、19四半期連続でRule of 40を上回りました。
Rule of 40とは、「売上成長率+利益率」を合わせて40%以上なら、成長企業として成長性と収益性のバランスが良いと考える指標です。
今回のSoFiはこれを大幅に上回っています。
売上を40%近く伸ばしながら、利益もしっかり伸ばす。
「高成長+高収益企業」へ変わってきていることが数字にも表れていると思います。
8.ガイダンスは売上を上方修正。ただしEBITDAは据え置き

今回少し気になったポイントもあります。
SoFiは2026年通期の調整後純売上高見通しを、47.5億〜48.5億ドルへ引き上げました。
以前は前年比約30%成長を想定していましたが、新しいガイダンスでは、前年比約32〜35%成長を見込んでいます。
一方で、調整後EBITDAについては、約16億ドルの見通しを据え置きました。
つまり、売上予想は上げたのに、利益予想は上げなかった。ここだけを見ると少し気になります。
ただし私は、必ずしもネガティブだとは考えていません。
SoFiは現在、ブランド認知度向上、新サービス、商品開発、顧客獲得などへ積極的に投資しています。
今期の利益を最大化するより、将来の顧客基盤を拡大するためにお金を使っている段階と見ることもできます。
9.SoFiはいま「ブランド」に投資している

その象徴が広告戦略です。
SoFiは2026年7月、ノートルダム大学のアスレチックス部門との複数年パートナーシップを発表しました。
SoFiは同大学アスレチックスの公式金融サービスパートナーとなり、ノートルダム大学の26の代表チームの試合・練習用ユニフォームにSoFiブランドが掲出されます。
さらに学生アスリート向けに年間140万ドルの基金を設け、奨学金、金融教育、キャリア支援なども行います。
これは単なるスポーツ広告ではないと思います。
SoFiが狙っているのは、これから社会に出て金融サービスを本格的に利用し始める若い世代だからです。
学生時代からSoFiというブランドを知ってもらう。
社会人になってSoFi Moneyを使う。
投資を始める。
クレジットカードを作る。
所得が増えればローンを利用する。
こうして顧客との関係を長期化できれば、LTVは大きくなります。
短期的には広告費として利益を押し下げても、将来の顧客獲得につながる可能性があります。
10.Forbes「World’s Best Banks」で米国1位

SoFiのブランド戦略が成果を出し始めていることを示す材料もあります。
2026年、ForbesとStatistaによる「World’s Best Banks」で、SoFiは米国部門1位となりました。
これはかなり大きいと思います。
SoFiはもはや、「若者向けのフィンテック企業」というだけではありません。
銀行免許を持ち、預金、融資、投資などを提供する総合金融企業としてブランドを確立しつつあります。
ブランド認知度が上がれば顧客獲得がしやすくなる。
顧客獲得コストが下がれば利益率も改善する。
そしてFinancial Services Productivity Loopがさらに強くなる。
SoFiのブランド投資は、この循環を加速させるための投資だと考えています。
11.個人向けだけではない「Big Business Banking」

SoFiの次の成長ドライバーとして注目したいのが法人向けビジネスです。
SoFiは2026年4月、「SoFi Big Business Banking」を発表しました。
これは企業向けの銀行インフラです。
従来型の銀行サービスだけでなく、法定通貨と暗号資産・ステーブルコインを組み合わせた金融インフラを提供し、24時間365日の資金移動などを可能にすることを目指しています。
SoFiはこれまでBtoC、つまり個人向け金融サービスの会社という印象が強かったですが、今後は法人向け金融インフラにも領域を広げていきます。
もしこの事業が成長すれば、BtoCのEverything App+BtoBの金融インフラという2つの成長エンジンを持つ会社になる可能性があります。
12.それでも、なぜSoFi株は上がらないのか?

ここまで見ると、「これだけ良い決算なら、もっと株価が上がってもいいのでは?」
と思います。
私も今回の決算自体には大きな不満はありません。
むしろ、ほぼ100点に近い決算だと思っています。
それでも株価の上値が重い理由の一つとして考えられるのが、米国の金利政策を巡る不透明感です。
2026年9月に入り、米国では強い雇用統計を受けて利上げ観測が再び高まりました。
8月の非農業部門雇用者数は16.2万人増となり、市場予想を大幅に上回りました。
その結果、市場では9月FOMCでの利上げ確率が60%前後まで上昇しています。
さらにFRBはインフレへの警戒姿勢を崩していません。
一方でトランプ大統領はFRBに利下げを求めています。
つまり市場では、「FRBは利上げするのか、それとも据え置くのか」という不透明感が強まっています。
金利環境はSoFiにとって非常に重要です。
資金調達コスト、ローン需要、預金、利ざや、信用コストなど、さまざまな部分に影響するからです。
実際、SoFi自身も2026年通期見通しについて、年初に想定していた「2回の利下げ」から、現在は**「1〜2回の利上げ」**を想定する環境へ変化したと説明しています。
それでも売上高を上方修正できた。
私はむしろ、ここを評価したいと思っています。
13.SoFiは「ローン会社」から「金融OS」へ

今回の決算を見て、私が最も重要だと思ったのはここです。
SoFiを、「個人ローンを貸しているフィンテック企業」として見ると、この会社の成長ストーリーを過小評価する可能性があります。
SoFiが目指しているのは、
銀行
ローン
投資
クレジットカード
暗号資産
資産形成支援
法人金融インフラ
などを1つにつなげる金融プラットフォームです。
顧客が増える。
↓
1人の顧客が複数の商品を使う。
↓
顧客獲得コストが下がる。
↓
LTVが上がる。
↓
利益が増える。
↓
その利益で新商品を開発する。
↓
さらに顧客が増える。
このFinancial Services Productivity Loopが回り続けるか。
ここがSoFiの投資判断で最も重要なポイントだと思います。
14.まとめ|今回の決算は「ほぼ100点」。見るべきは次の成長フェーズ
今回のSoFi Q2 2026決算をまとめると、
調整後純売上高:約12億ドル(前年比+40%)
調整後EPS:0.12ドル、市場予想を上回る
調整後EBITDA:3.58億ドル(+44%)
メンバー数:約1,581万人(+35%)
プロダクト数:約2,438万件(+42%)
ローン組成額:148億ドルで過去最高
新規プロダクトの51%が既存会員によるクロスバイ
19四半期連続でRule of 40を上回る
通期売上ガイダンスを47.5〜48.5億ドルへ引き上げ
という非常に強い内容でした。
もちろんリスクはあります。
特に金利環境と信用コストについては、これからも注意して見る必要があります。
また売上ガイダンスを引き上げながらEBITDAガイダンスを据え置いた点も、今後の利益率を見るうえで重要です。
それでもSoFiは現在、「融資で稼ぐ会社」から「顧客の金融生活全体から収益を得る会社」へ変わりつつあります。
メンバー数だけではなく、プロダクト数がそれ以上のスピードで増えていること。
クロスバイが51%まで上昇していること。
手数料型ビジネスを拡大していること。
そして法人金融まで事業領域を広げ始めていること。
これらを見ると、SoFiの本当の成長ストーリーはこれからなのかもしれません。
短期的には金利政策によって株価が振り回される可能性があります。
しかし長期投資家として私が見ていきたいのは、
「Financial Services Productivity Loopが今後も回り続けるのか」
という一点です。
ここが続く限り、SoFiはまだまだ面白い企業だと私は考えています。
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本記事は、公開情報をもとに筆者個人の見解をまとめたものであり、特定の金融商品・銘柄の売買を推奨するものではありません。
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