NVIDIA(エヌビディア)が2027年度第2四半期(Q2 FY2027)の決算を発表しました。
今回の決算を一言で表すなら、「この会社の規模で、まだ前年比100%を超えて成長するのか」という驚異的な内容でした。
売上高は過去最高となる962億ドル。
前年同期比ではなんと+106%です。
さらにデータセンター売上高は890億ドルに達し、前年比**+117%**。
NVIDIAはすでに世界最大級の企業ですが、それでも売上を1年間で2倍以上にしています。
そして今回の決算で、数字以上に注目したいポイントがあります。
それが、「NVIDIAはGPUを売る会社から、AIデータセンターそのものを提供する会社へ進化しようとしている」という点です。
今回はNVIDIAの最新決算から、今後の成長を左右する「Vera Rubin」とAIインフラ戦略について見ていきます。
1.売上962億ドル、前年比+106%という異次元の成長

まずは今回の決算です。
売上高は、962億ドルとなり、前年同期比では+106%。
前四半期比でも+18%となりました。
GAAPベースの希薄化後EPSは2.46ドル、非GAAPでは2.22ドル。
売上、利益とも非常に強い決算となっています。
特に驚くべきなのは、NVIDIAの現在の企業規模です。
小型の成長企業が売上を2倍にするのとはわけが違います。
四半期売上が約1,000億ドルに迫る企業が、それでも前年比100%を超えて成長しています。
AI投資が一時的なブームではなく、世界規模のインフラ投資になっていることを象徴する数字だと思います。
2.売上の9割以上を占めるデータセンターが前年比+117%

今回の最大の成長エンジンは、やはりデータセンターです
データセンター売上高は、890億ドルとなりました。
前年同期比では、+117%です。
つまりNVIDIA全体の売上962億ドルのうち、実に約92%がデータセンター関連ということになります。
これだけデータセンターへの依存度が高いにもかかわらず、そのデータセンター事業自体が前年比2倍以上に成長しています。
NVIDIAの成長が続いている最大の理由はここです。
3.AI投資はハイパースケーラーだけではない

NVIDIAを見るとき、「MicrosoftやAmazon、Google、Metaなどの巨大IT企業がGPUを大量購入している」というイメージが強いと思います。
もちろん、ハイパースケーラーは今後もNVIDIAの重要な顧客です。
しかし今回注目したいのは、その外側でもAIインフラ需要が急速に拡大していることです。
NVIDIAがACIEと呼ぶ、ネオクラウド、ソブリンAI、エンタープライズ、エッジなどを含む領域の売上高は約400億ドル。
前年比では、+138%という驚異的な成長となりました。
つまり、「AIへの巨額投資=巨大テック企業だけの話」ではなくなってきています。
AIスタートアップ、ネオクラウド、各国政府、一般企業などへAIインフラ投資が広がり始めています。
NVIDIA自身も、この非ハイパースケーラー領域がデータセンター事業のおよそ半分を占める規模になると説明しています。
これはNVIDIAの成長余地を考えるうえで非常に重要だと思います。
4.Blackwellの次は「Vera Rubin」

そして今回の決算で非常に重要だったのが、Vera Rubin(ヴェラ・ルービン)
です。
これまでNVIDIAの成長を牽引してきたのがHopper、そしてBlackwellでした。
そのBlackwellの次世代プラットフォームがVera Rubinです。
重要なのは、Vera Rubinを単なる「新しいGPU」と考えないことです。
Vera Rubinは、
・Rubin GPU
・Vera CPU
・NVLink 6
・高速ネットワーク
・DPU
・AIソフトウェア
などを組み合わせ、AIデータセンターを巨大な1台のコンピューターのように動かすためのプラットフォームです。
代表的な「Vera Rubin NVL72」では、72基のRubin GPU+36基のVera CPUを1ラックに統合します。
Rubin GPUには次世代HBM4メモリが採用され、GPU間を第6世代NVLinkで高速接続します。
NVIDIAによると、Vera RubinはGrace Blackwell Ultraと比較して、メガワット当たりのスループットを大幅に高め、トークン生成コストも劇的に引き下げる設計になっています。
つまりNVIDIAが売ろうとしているのは、「GPU単体」ではありません。
AIモデルを動かすための、「AI工場そのもの」です。
そしてVera Rubinの生産出荷はすでに開始されています。
主要ハイパースケーラー、AIクラウド、システムメーカーから注文を獲得しており、NVIDIAはVera Rubinが同社史上最速の製品立ち上がりになると見ています。
さらにQ3には、データセンター売上の約20%をVera Rubinが占めると予想されています。
BlackwellからVera Rubinへの移行はすでに始まっています。
5.NVIDIAは「チップ会社」ではなくなってきている
今回の決算で最も重要だと感じたのがここです。
NVIDIAは、単にGPUを販売する会社ではなく、データセンターを丸ごと作る会社へ変化しています。
実際、ジェンスン・フアンCEOはカンファレンスコールで、NVIDIAは世界で唯一、AIファクトリー全体のフルスタックシステムを提供できる企業だと強調しています。
GPUだけではありません。
CPU。
NVLink。
InfiniBand。
Ethernet。
DPU。
ソフトウェア。
そしてデータセンターの設計。
これらをまとめて提供します。
この戦略によって、NVIDIAが1GWのAIデータセンターから獲得できる売上機会も拡大しています。
Hopper世代では約180億ドル/GWだったものが、Blackwellでは約250億ドル/GW。
そしてVera Rubinでは、約400億ドル/GWまで拡大するとNVIDIAは説明しています。
これは非常に重要です。
AIデータセンターへの投資額が同じだったとしても、NVIDIAが獲得できる金額そのものが増えているからです。
6.次のボトルネックは「GPU」ではなく土地・電力・建物

AIデータセンターの建設競争が激しくなるにつれて、新しい問題も出てきました。
それが、土地・電力・データセンター建物の確保です。
ジェンスン・フアンCEOは、現在では単純に最新GPUを購入するだけではAIインフラを構築できないと説明しています。
必要なのは、Land(土地) Power(電力) Shell(データセンター建物)
です。
特に電力確保には時間がかかります。
そのためNVIDIAは半導体のサプライチェーンだけではなく、電力会社や土地・データセンター事業者とも連携し始めています。
これはNVIDIAのビジネスモデルがさらに大きく変化していることを意味します。
これまでは、
「GPUを作る→顧客に販売する」
というビジネスでした。
これからは、「AIデータセンターが建設できる環境そのものを作る→そこにNVIDIAのコンピューティングを大量導入する」というところまで踏み込もうとしています。
7.AIクラウド企業の成長をNVIDIA自身が支援

もう一つ非常に興味深いのが、AIクラウド企業との関係です。
AIクラウドやAIモデル開発企業には現在、非常に大きな需要があります。
しかし問題があります。
成長速度が速すぎるのです。
顧客はいる。
GPUも欲しい。
データセンターも増やしたい。
しかし、それだけのデータセンターを建設するための資金調達能力が追いつかない企業があります。
そこでNVIDIA自身がAIインフラの拡張を支援し始めています。
例えば一部のネオクラウドとの契約では、NVIDIAが一定の最低収入を支える仕組みを提供し、その代わり一定水準を超えたクラウド収入の一部を受け取ります。
つまりNVIDIAは、
①最初にAIハードウェアを販売する
そして、
②そのハードウェアを使ったクラウド事業からも収益を得る
というモデルを構築し始めています。
NVIDIA自身もこの仕組みについて、
「一度はハードウェア販売、もう一度はレンタル収入のシェアから収益を得る」
という趣旨の説明をしています。
成功すれば、従来の一回限りのGPU販売だけではなく、継続的な収益源を作ることができます。
これは今後のNVIDIAを見るうえでかなり重要なポイントだと思います。
8.Q3売上ガイダンスは1080億ドル
そして次の四半期も強気です。
NVIDIAが発表したQ3 FY2027の売上高ガイダンスは、1,080億ドル ±2%です。
ついに四半期売上が1,000億ドルを超える見通しです。
さらに注目なのが2028年度です。
NVIDIAはカンファレンスコールで、FY2028の売上高を前年比約70%増とする予備的な見通しを示しました。
NVIDIAは通常、これほど先の売上見通しを出してきません。
それだけAIインフラ需要についての可視性が高まっているということだと思います。
しかも、さらに驚くべき発言がありました。
NVIDIAによると、需要そのものは70%成長を大きく上回っているとのこと。
つまり需要不足で70%成長なのではありません。
供給制約があるため約70%しか成長できないという状況です。
供給能力をさらに拡大できれば、上振れ余地もあります。
これが現実のものになれば、EPSの成長を通じて、さらに株価を押し上げる材料になる可能性があります。
9.中国売上がほぼなくてもこの成長

もう一つ面白いポイントがあります。
中国です。
当四半期、中国の顧客向けに出荷されたHopper 200製品は、
データセンター売上高の1%未満
でした。
かつて中国はNVIDIAにとって非常に重要な市場でした。
しかし現在は、中国向けデータセンター売上がほぼない状態でも、
全社売上+106% データセンター売上+117%
という成長を実現しています。
さらにNVIDIAのQ3ガイダンスには、中国向けデータセンターCompute売上を織り込んでいません。
これは逆に考えると興味深いです。
今後、米中関係や輸出規制の状況が変化し、中国向けに高性能AI半導体を販売できる環境が整えば、
中国市場が再び追加の成長要因になる可能性があります。
現時点ではあくまでアップサイド要因として考えておくのがよさそうです。
10.懸念点は顧客集中
もちろん、NVIDIAにもリスクはあります。
その一つが、売上の顧客集中です。
巨大AIインフラ投資を行える企業は限られています。
そのため売上のかなりの部分が大口顧客に集中しています。
現時点では主要ハイパースケーラーのAI投資は減速していません。
むしろAIエージェントの普及によって必要なコンピューティング量はさらに増えています。
しかし将来的に主要顧客が設備投資を削減した場合、NVIDIAの成長率にも大きな影響を与える可能性があります。
これは今後の決算でも継続してチェックしたいポイントです。
11.株主還元も過去最高の260億ドル
これだけ成長投資を続けながら、NVIDIAは莫大なキャッシュも生み出しています。
Q2には、約260億ドルを株主へ還元しました。
内訳は、自社株買い:約200億ドル 配当:約60億ドルです。
四半期として過去最高の株主還元となりました。
一方、現金・現金同等物と市場性のある債券を合わせると約566億ドル。
つまりNVIDIAは、次世代AIインフラへ巨額投資しながら、巨額の株主還元も行えるほどのキャッシュ創出力を持っています。
まとめ:NVIDIAは「GPU企業」から「AIインフラ企業」へ
今回のNVIDIA決算は、単純に「売上とEPSが良かった」というだけではありません。
個人的に最も重要だと感じたのは、NVIDIAのビジネスモデルそのものが変化していることです。
Hopper。
Blackwell。
そしてVera Rubin。
GPU性能を上げるだけではありません。
CPU、GPU、ネットワーク、ソフトウェア、データセンター設計、さらには土地・電力・建物の確保まで関与する。
NVIDIAは、「半導体を販売する会社」から、「世界のAIインフラを構築する会社」になろうとしています。
そして数字を見る限り、AIインフラ需要はまだ減速していません。
売上962億ドルで前年比+106%。
データセンター890億ドルで+117%。
Q3売上ガイダンス1,080億ドル。
さらにFY2028は約70%成長の予備的見通し。
しかも需要はそれ以上で、ボトルネックは供給側です。
これだけ巨大になったNVIDIAが、まだこれほどの成長率を維持していること自体が今回の決算最大のポイントだと思います。
一方、顧客集中、メモリ価格上昇による粗利益率低下、AIインフラ投資の持続性、AI企業への資金・信用支援については注意が必要です。
特にNVIDIA自身がAIクラウド企業の成長を支援するようになっているため、「AI需要が伸びる→NVIDIA製品が売れる」
という単純な構図から、「NVIDIA自身がAIエコシステムの拡大を支え、その成長から収益を得る」という構造に変わりつつあります。
Vera Rubinが本格的に売上へ寄与するQ3以降、この戦略がどこまでNVIDIAの成長を押し上げるのか。
ここが次の決算で最も注目したいポイントです。
※本記事は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。


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